J1第27節 鹿島1−4名古屋

BS中継だったので久しぶりのライブ観戦。ここ数試合の結果からわかるように、現在のアントラーズの状態は最悪と言って間違いない。その原因が何なのか、ハッキリと断言することは難しいかもしれないが、分析するには丁度いい試合となってしまった。
まずスタメンから考えていく。グランパス戦のスタメンは以下の通り。

曽ヶ端
内田、岩政、大岩、新井場
小笠原、青木
野沢、本山
マルキーニョス、興梠

負傷で離脱していた本山が復帰。伊野波に代わって大岩が起用された。オズが基本的にメンバーを固定して戦うことは周知の通り。そこで懸念されるのが蓄積疲労というのも当然のこと。ただそれを現在の絶不調の直接的な原因として挙げられるかは微妙。選手の体調に関しては、オズが間違いなく管理して判断しているという前提で考えると、原因は他に考えられるというのが妥当。ただ、この試合での満男や篤人を見ると、だいぶ疲労が溜まっているように思える。それでもスタメンで起用し続けるオズにはどんな考えがあるんだろうか。
推測するに、ターンオーバーを採用したくても、代わって入る選手がスタメンのレベルに達していないと評価されている可能性が高い。本山に代えてダニーロ、興梠に代えて大迫(田代)、青木に代えて浩二など、今季で見られる交代はある程度固定化されている。つまりその他のスタメンで出場し続けている選手には、基本的に代えの選手がいないということ。それぞれスタメンの選手のコンディションが回復すれば、他の選手との交代はあり得ると思うけど。
そこで期待するのは、やはり若手の台頭だろう。ここまで大迫がFWのスタメンを争っているが、それ以外の若手はどうだろうか。誓志、パクはコンスタントにベンチ入りはしているが、逆にすっかりベンチに馴染んでしまっている。満男はスポナビのコラムで、「こういう苦しい時だから、もっとチーム全体でやっていかなきゃいけない。最近は11人が固定されているけど、それを打ち破る選手が出てきてほしい。途中から出てきたやつが活躍してスタメンを奪うとか、そういう流れも必要じゃないかな。今まではそういうのが毎年あった。自分が去年けがをした時には中後(雅喜=現千葉)が頑張ったし、ヤナギさん(柳沢敦=現京都)が苦しかった時は有三(田代)が出て頑張った。その次に慎三(興梠)、大迫(勇也)が伸びてきた。DF陣も剛(大岩)さんのところに伊野波(雅彦)が出てきたし、イバ(新井場徹)とパク(チュホ)のところも競争が生まれた。それが最近ないのがすごく気になるよね」と語っている。今まで出番がなかった選手からヒーローが生まれる可能性もある。むしろそういったことがなければ優勝は難しいかもしれない。残りの8試合、未だ見ぬヒーローは現れるのか。そしてオズには、難しい決断になるかもしれないが、思い切った選手起用を期待したい。
さて、話をグランパス戦に戻してゴールシーンを中心に振り返りたい。まず1点目の失点。岩政がマギヌンのクロスに対して完全にボールウォッチャーになってしまい、結局は落下点にも入れずボールはファーに流れてしまう。そこにフリーで待っていたブルザノビッチにシュートを打たれ、曽ヶ端が弾いた所をケネディに押し込まれた。ブルザノビッチに対しては大岩か新井場がマークすべきだったが、共にオフサイドをアピールしていて反応が遅れた。大岩に関してはケネディのケアに気を取られたというのもあるが、それならファーに流れる前にクリアして欲しかった。まぁ新井場がもっと中に絞って大岩と挟んで見るのが理想だったか。また岩政はケネディと競った後に完全にプレーを止めていて、その後すぐに切り替えていれば防げた失点だったかもしれない。
2点目の失点は、曽ヶ端のバックパス処理をブルザノビッチにカットされて...。もうこれについては残念としか言いようがない。3点目は相手GKのフィードに対して誰も競らず、そこからDFラインの乱れを突かれて杉本にヘッドで決められる。新井場のマークも軽かったように見えたが、その前に簡単に裏にパスを出させたのは問題。
満男のFKからマルキのヘッドで一矢報いるも、篤人がブルザノビッチのダメ押しゴールをアシストしてしまうというまさかの展開で試合終了。
試合全体を通して思ったことは、攻守にわたって運動量が少ないということ。この一言に尽きる。特に味方がボールを持っているときの周囲の動きが少なすぎる。この試合の中でもいい攻撃の形が何回か見られたが、それは必ず複数の選手が連動して動いたことによって生まれていた。それこそがアントラーズのサッカーだと思うし、そのための運動量が今のチームに一番欠けているものだと思う。
失点シーンを思い返して欲しい。2点目のシーンは、周囲の選手が早い動き出しをしていれば篤人がパスコースに困ってバックパスすることもなかったかもしれない。3点目のシーンでは、ボールホルダーに対してもう少しプレスに行っていればラストパスの精度を下げられたかもしれない。もう一度よかった頃のアントラーズを思い出して欲しい。そこには必ず運動量に支えられた素晴らしいサッカーがあったはずだ。
オリヴェイラ監督も3年目で、やり方も確立されている。今の鹿島は昨日や今日できたチームじゃない。だからこそ、体を張って戦うだとか、相手よりも一歩先に寄せる、ボールを奪う、そういう部分がすごく大事になってくる。最近は相手の方が球際や動きの量でも上回っているよね。大宮やマリノスも一生懸命さが伝わってきた。今のJリーグは力の差がないんだから、自分たちももっとそういう部分を出さないと、簡単には勝てないよ」と満男が語っているように、課題はハッキリしているだけにもどかしい。前人未到の3連覇に向けて、今が、ここが正念場だ。